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従来から、「プロペラは扇風機を使って回しているのですか?」とか、「モーターを仕込んだ場合、電池はどこに入れるのですか?」とか、「携帯電話の振動モーターはどこに売ってますか?」などのご質問に、メールでお返事をしておりました。自分では『特別なことではなく、誰でも考えること・・・』だと思っていたのですが、同様のメールを結構いただくので、この際、モーターライズのページを追加することにいたしました。もっとも、それほどたいそうな内容ではありませんので、「まあ、こんなモンだろう」程度にご覧ください。


今はプロペラやヘリコプターの回転翼を回すための、専用モーターが売られているようですが、びっくりするような値段です。そのため、携帯電話の振動モーターが利用されるようです。しかし、このモーター、どこでも手に入る代物ではありません。そこで、意地になって『どこでも手に入る』マブチモーターを使っています。もっとも、今ではベビーモーターも『どこでも手に入る』モーターではありませんね。
でも、1/72のヒコーキだと、これが限界です。
基本的にはマブチFA-130やRE-140を使います。理由はどこでも売ってるから。しかし実際のところ、これらのモーターでは無理な場合が多いのです。見えないところまで作りたがる飛行機屋の性で、カウリングの中の、エンジンの中にモーターを押し込もうとするからです。そうなると1/32スケールでも苦しくなります。
しかし、秋葉原や大阪日本橋のような電気街ならともかく、他で4mmモーターを入手するのは至難の業です。そこで登場するのがマブチのミニベビーモーターです。えっ?4mmモーターの方が入手しやすい・・まあそう言わずに、懐かしいでしょ。生産中止になった後、流通ライン上で在庫になっているものを、量販店のプラモ売り場に、待ち時間無制限のお取り寄せをして入手したものです。現在、ストックしている未開封のベビーモーターは、100個以上になりました。
こういう品物は専門店よりも、量販店の方がパワーがありますね。
ベビーモーターは直径12.8mm、全長20.25mm程度の大きさですが、4mmモーターと比べれば格段に大きいのです。しかし、工夫しだいで押し込むことは可能です。パワーも空冷エンジン機であれば、1/72から1/32まで大丈夫。しかし、液冷エンジン機になると1/32では少々辛くなります。理由はスピナーと機体の接触面が大きいため、どうしても回りづらくなるのです。サラダ油などを潤滑剤にする手もありますが、塗装した機体に油はつけたくないですね。


そこで、スピナーと機体を擦り合わせて、摩擦を少なくするとともに、回転軸がブレないように調整します。文章だと何だか面倒ですが、実際にやってみると、たいしたことはありません。また、サイズ的にモーターが収まらない時は、収まるまでひたすら内側を削ります。


episode〜ハセガワのFi156Cシュトルヒ(1/32)は、エンジン幅とベビーモーター外寸がほぼ同じだったため、エンジン側面を切り抜き、モーターのボディーをエンジン外壁として組み込みました。


問題はモーターよりも電源です。1/48スケール以上の空冷エンジン機であれば、カウリングで分離して、電池を機内へ収納することは容易です。しかし、液冷エンジン機の場合は、ほぼ不可能なので、唯一の接地面であるタイヤから電気を取ることにします。実機の写真や図面を参考に、エナメル線などをブレーキパイプとして、主脚からタイヤの接地面まで通電します。


〈左側画像−上/白丸の箇所〉
ハセガワのスピットファイアMk.Xb(1/32)のタイヤ接地面です。このスケールだと、タイヤも貼り合わせの空洞なので、とても簡単に処理できます。タイヤは地上での荷重変形ということで、地面と接する部分を平らに削りますので、そこからエナメル線を接地させます。接触が悪い場合は、アルミホイルを詰め込んで接地面を大きくします。


〈左側画像−中/赤丸の箇所〉
上と同じスピットファイアの主脚に這うエナメル線


〈左側画像−下/白丸の箇所〉
ハセガワ・B-17Fフライング・フォートレス(1/72)主脚部分のエナメル線とタイヤ接地部分。
さて、タイヤに電極の付いたヒコーキが完成したら、次はそれに送電するベースが必要になります。




〈左側画像−上〉
ベースのサイズは34cm×27cm×2.5cmで、マホガニー仕上げの木製です。銀色の部分は、アルミ板を埋め込んでいます。裏側に単三電池2本をはめ込むようになっています。つまり、アルミ板は+−の電極で、3ボルトの直流電流が流れている状態です。




〈左側画像−下〉
一枚のプラ板に、幅50mmのアルミテープを5列に貼ったもの。こちらはアルミテープの上に電池を置いて送電します。これだと、1.5ボルトでも3ボルトでも自由自在です。もっとも、上のマホガニー仕上げでも可能ですが・・。
 左のプラ板拡大画像。アルミテープはそれ
 ぞ
れ0.5mmの間隔を開けて貼っています。
三枚とも同じ電池ケースの表側と裏側です。銀色の部分はアルミホイル。


〈左側画像−上〉
電池ケースの両側にアルミホイルが貼ってあり、それぞれプラスとマイナスの電極になっており、マホガニー仕上げのベースの裏側に差し込むようになっています。差し込むとアルミホイルを通じて、ベース表面のアルミ板に電流が流れます。


〈左側画像−中〉
上の画像と同じ電池ケースの裏側です。電極となるアルミホイルは、裏側まで回り込んでいます。これをアルミテープ プラ板の上に置くと、アルミホイルとプラ板のアルミテープが接触して、電気が流れます。マホガニーベースの場合は、中に仕込むことも、アルミ板の上に置いて使うこともできます。同様の細工をした、単二と単三、各一本用の電池ケースもあります。
〈左側画像−下〉
アルミテープの上にこんな感じで置いて、カバーを被せればOK。
〈左側画像−上〉
中島キ-84 四式戦 疾風 (ハセガワ 1/72)
快調に回っています。めざせ、稼働率100%!
〈左側画像−中の上〉
ボーイングB17F  フライング・フォートレス
(ハセガワ 1/72)


大型機のエンジンが全部回ると、1/72といえどもなかなか迫力があります。






〈左側画像−中の中〉
ベビーモーター4個使用なので、プロペラをひとつずつ回すことができます。記録映画などで、エンジン2発だけ回してタキシングしている四発機を見ますが、あれ、カッコいいと思いませんか。大好きなシーンなのであります。
〈左側画像−中の下〉
2番・3番エンジンを回してみました。
〈左側画像−下〉
中島キ-84 四式戦 疾風 (ハセガワ 1/72)
「夕暮れの飛行甲板・・・」
「なんで陸軍機が空母にいるんだよ!」
「それより、旧日本海軍の空母甲板というには、かな
 りムリがあるんじゃないの?」
「では、パラオに進攻した米軍が、鉄板を敷きつめて
 設営した飛行場・・・ならどうだべ」
「だったら四式戦じゃなくて、せめてF4Uぐらい置
 いといたら」
「ごもっとも」


後方のグレーの箱に、単三電池が2本入っています。気持ちとしては、プラ板を貼り合わせた箱ではなく、防空指揮所のような、施設ぽいものを作りたいのですが、つい、面倒で・・・
 
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